池袋~新宿のフレンチがおすすめなわけ 比較とまとめ5選

ミシュランのフレンチの星付きレストランですが、新宿から池袋になると全くありません。(ビブグルマンはあるのですが)フレンチ不毛地帯かと思いきや実は、コスパのいいお店が結構あるのです。青山や銀座などの高級店との違いは、簡単に言えば、非日常的な世界を出せるか出せないかというところだと思います。内装のゴージャスさ、景色や夜景の美しさ、カテラリーやテーブルクロスの高級感、顧客のレベル層が高いなことどについては、池袋、新宿フレンチにはあまり見られないのですが、料理の質だけを見ると十分に太刀打ちできる店がたくさんあります。なにしろシェフがそういった店で修行されているのだから当然といえば当然かもですね。

今回はランチの紹介になります。(ディナーはわかりません)簡単にまとめると以下になります。ビブグルマンなどお墨つきになると予約がないとは入れなかったり、予約そのものがとりにくくなることがあります。

  • ル・ヴァンキャトル→予約推奨。5000円ぐらい出してもいいからとにかく美味しいのが食べたい。
  • Cheval de Hyotan→ビブグルマン、予約推奨。3000円ぐらい出してよいのでゆったりとした席で女性らしいフレンチを堪能したい
  • ラポール→予約なしでかつ2000円以下で上質なフレンチを食べたい
  • ラムジカ→予約なしでかつ2000円以下でカジュアルなフレンチをたくさん食べたい
  • ラミティエ→予約必須。ビブグルマン。本場の家庭的なフレンチを2000円以下でたくさん食べたい。

 

それでは個別の体験記をどうぞ。

ル・ヴァンキャトル

  • うまさ★★★★★
  • 芸術性★★★★
  • ボリューム★★★★
  • 内装の豪華さ★★★
  • 席の広さ★★★
  • コスパ★★★
  • 家庭的★

目白の王者的フレンチ

目白駅より徒歩7分。店内は高級感のある絵がかかったりしていて広くはないものの上品な感じ。オーナーシェフはミシュラン星一つの「ル・ブルギニオン」で8年もスーシェフとして務めていたとのこと。間違えなくうまそうです。

 

ランチはコロナのため、2900円のコースはなくなっていて、スープ + 前菜 + 魚 + 肉 + デザート + コーヒー4000円(税抜き)と10皿¥7,000 (税抜き)のコースのみになっていました。今回は4000円のコースを選択

①スイカのガスパッチョ

オリーブオイルで種を描いています。酸味が特徴的ですが、うまみもたっぷり夏らしい一品。

 

②雲丹とコンソメのジュレ

コンソメジュレと雲丹、ボタン海老、そしてパプリカのババロアが次々と舌に至福感を与え続けます。3種の違ったうまみとパプリカの酸味が一見合わなさそうなのですが、芸術的に合わさっています。

➂ハタのポワレ

ハタのポワレは外はパリっと中はジューシーでかなり好みの火入れ。フェンネルも優しいアクセント。

④ガリシア栗豚 タイムのソース

ガリシア栗豚はスペインの北西部の豚で、栗を贅沢に与えられて育った豚だそうです。どんぐりのイベリコ豚に負けず劣らず柔らかく、ジューシー。火入れも見事です。

全体的に酸味やうまみを上品にまとめたものが多く、芸術性も感じられました。ミシュランの星があってもおかしないようなレベルだったので、どうしてないのか聞いてみたところ、「ソムリエがいないからでは。。」との回答でした。このレベルの高さ、ミシュランに変わって星を上げたいぐらいです。食べログTOP5000はレベル高いです。新宿~池袋の中のフレンチでは頭一つ出た存在のように思えます。名前のル・ヴァンキャトルはフランス語で24。シェフの好きな数字だそうで、契約の日にちやオープンの日にちなどにも使われたとか。スペルがなぜかワインを表す”vin”になってるところも面白いです。また行きたい店の一つになりました。

Cheval de Hyotan

  • うまさ★★★★
  • 芸術性★★★★
  • ボリューム★★★★
  • 内装の豪華さ★★★★
  • 席の広さ★★★★
  • コスパ★★★
  • 家庭的★★

青山や銀座に負けない池袋フレンチ

池袋より徒歩6分。オーナーのご主人がソムリエ、奥様がシェフというお店。リーズナブルなフレンチはどうしてもカフェとか食堂みたいな感じの小さなテーブルで食べることになる場合が多いのだけれど、ここと割と椅子もテーブルも広めでカジュアルながらも高級感がありゆっくりと食べれそうです。しっとりとしたピアノは流れているのですが、結構しゃべりこんでいる人が多くて少しがやがやしていました。なんだか池袋っぽいです。ほんとはしっとりと上品にやりたいんでしょうね。

ランチは前菜 + メイン + コーヒーのMenu de Jourが2500円、さらに+デザートつきがMenu de Hyotanが3500円、5皿のコースが5800円となっており、今回は2500円のコースを選択。(尚2500円コースはメインの選択肢はなし)

①アミューズ

グラタン、トマトとアボカドのブルスケッタ、オリーブ、ヴィシソワーズといきなり豪華。しかもどれも手抜きがされておらず美味しい。

長茄子で巻いた鯵のテリーヌ

ハーブ、食用花、ベビーリーフ、アボカドソースなどで囲まれておしゃれ雑誌のカタログのよう。中の鯵もかなり新鮮なのを使っていて外見が美しいだけでなく、美味しい。

➂牛ほほ肉の赤ワイン煮

こぶしまでとは言わないですが、かなり大きめのほほ肉が軟らかく煮こまれています。野菜の苦みをわざと残してアクセントとしているような印象でした。

④紫蘇とミントと生姜のグラニテ

一見合わなさそうな三つの香りが一つのデザートの中に閉じ込められて不思議にハーモニーを奏でています。芸術的な一品。

見た目は写真通り女性的な美しさもありますが、それ以上に2500円のコースながらも完璧に作ろうとする姿勢があちこちにみられ「絶対手抜きしない。青山や銀座のフレンチにも負けたくない!冒険もしたい!」みたいな力強い決意みたいなのが一皿一皿伝わってきました。スタッフも活気があってフレンドリー。高級フレンチのようなよそよそしいサービスとは違ってとても良い感じだと思います。シェフのブログを見ると新しい素材への探求も怠りなくやっているようで今後も楽しみです。春は山菜も使っているようでNARISAWAみたいですね。是非池袋版里山キュイジーヌを食べに行きたいです。店の名前は”瓢箪から駒”をフランス語にしたということですが、池袋なんかにおしゃれなフレンチ?のような趣旨みたいです。店名を全部フランス語にしてしまうと覚えにくかったり呼びにくいだろうということで日本語も入れたとオーナーがおっしゃってました。池袋の土地にふさわしい価格ながらも高級感やゆったりとした感じがあり、そういう意味ではびっくりする存在ですね。

Rapport (ラポール)

  • うまさ★★★★
  • 芸術性★★★
  • ボリューム★★★
  • 内装の豪華さ★★
  • 席の広さ★★
  • コスパ★★★★★
  • 家庭的★★

上質なフレンチを超リーズナブルに出す良店

JR池袋より徒歩2分。名店マキシムド・パリで修業されたシェフがやっているお店と聞いて、間違えなくおいしいはずと思い来店。

アミューズ+前菜+メイン+カフェの税抜き1400円を注文。

①アミューズ カボチャとトマトのスープ

ハーブなどの飾りすらないのだけれど、カボチャのうまみがすごく出ており、ほんの少しトマトの酸味が感じられてとても美味。

②ホタテのバリグール

ホタテは新鮮で柔らかいけれど、少しうまみが少ないかも。タイトルから察するにアーティチョークが入ってたのだと思うけれど食べたことがないので判別できませんでした。白ワインソースがかかっているけれど全体的に塩分、酸味、うまみとも控えめで”春の目覚め”みたいな、よい意味でぼやっとした感じの作品。うまみしっかりのアミューズと対照的でした。

➂スズキのポワレ

スズキと色とりどりの野菜にプロバンス風のソースがかかっており、スズキの皮はかなりカリッと焼いており美味しい。中のキノコからは秋らしい香りが漂い、時々バルサミコ酢の上品な酸味を感じます。南欧っぽくよくまとまっている一品。

パンは食べ終わると外側を都度カリッと焼いたものを持ってきてもらえます。かなり美味しい。税を入れても1600円ぐらいで高い質のフレンチが食べれて、本当におすすめ。まだ創設から一年ぐらいしかたっておらず、ランチはいまのところ予約なしでもOKのようです。一人でも入りやすいし、好立地だし是非学生とかにも行ってもらいたい良店だと思います。悪いところをあえて言うと席がカフェぐらいの小ささという点かな。でも混んでないので窮屈な感じはないです。

La mujica

ハーブのさわやかなアクセントが魅力的なカジュアルフレンチ

  • うまさ★★★
  • 芸術性★★
  • ボリューム★★★★
  • 内装の豪華さ★★
  • 席の広さ★★★
  • コスパ★★★★
  • 家庭的★★★

目白駅徒歩1分。青い外壁が印象的。梶原シェフはマキシム・ド・パリやクレッセントなどの有名店やフランスでは星付きのお店でも修行されたそう。
店内は、アップライトのピアノが置かれたりと、月に一回はコンサートもやられたりするそうです。雰囲気はクラシックな格式ばったものはなくてどちらかというとカジュアル、家庭的な雰囲気でおしゃれしすぎなくても大丈夫な感じでした。
ランチは1600円(+税+サービス料)で前菜、スープ、メイン、食後の飲み物がつきます。
メインはハーブ鶏もも肉のこんがりローストを選択。天然塩がもも肉の味わいをよく引き出しており、骨からはうまみがたっぷり出ています。ディジョンマスタードのソースはきつくなく、まろやかにアクセントを付けます。
全体的な印象としては、美味しいソースで素材をごまかすというフレンチにありがちな感じではなく、良い素材を生かしハーブやソースでアクセントをつけていくといったスタイルに思われました。クミン、ローズマリー、デジョンマスタードなどは決して表に出すぎることなく、軽くメインの素材をサポートするような配分がとても好印象でした。その他のメニューを見ても鮎のカダイフ巻やバルバリー鴨のコンフィなど凝ったものが並んでおり、また次回挑戦してみたいです。盛り付けや食器は高級フレンチのようには凝ったものでなく、あくまでも味勝負に出ているのだと思います。2000円前後で食べれるフレンチとしてはとても良い選択だと思います。

ラミティエ

パリの街角にありそうな気どらない普段着のフレンチ

  • うまさ★★★
  • 芸術性★★
  • ボリューム★★★★★
  • 内装の豪華さ★
  • 席の広さ★
  • コスパ★★★★★
  • 家庭的★★★★★

高田馬場徒歩5分。ビブグルマン、および食べログTOP5000。店内はこじまんりとしながらも、フランス語のラジオをながすなどしてパリの食堂に入ったような錯覚さえ覚えさせます。ランチは前菜とメイン料理で1300円税別と格安。

前菜は田舎風お肉のテリーヌを選択。

前菜の感じがしない巨大テリーヌが登場。日本で作られた感じが全くせず、本場に近い味なのではないかと思われます。

メインは+200円で鴨のコンフィー。

こちらも巨大。鴨のコンフィーはおしゃれなイメージだけれどこれはほんとに普段使いのような味で下に入っているシュークルートも家庭的な味。

学生街にあって、お金のない学生にも本場の味を食べてもらいたいと思ってこんなありがたい価格設定とボリュームにしたのだろうなというのは想像にかたくありません。人気店になっても価格をあげたり、ボリュームを減らしたりしないところが素晴らしいと思います。フレンドリーな接客も好印象。ただフレンチということで洗練、上品、ロマンチックな雰囲気を求めるような人はここでは失敗するかもしれません。グラスワインもソムリエのいるような店と比べると今一つな感じです。ボリュームを求める気の置けない友人といくのがベスト思われます。予約は必須です。